milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜

――だけど。


「…待って、待って。それ、痛いわ」


打撲している右の腕を袖に通そうとするけど、なかなかうまくいかない。

たしかに、これなら彼方さんも手こずるわけだ。


「彼方さん、この角度…いけますか?」

「いや、無理」

「じゃあ、こっちは?」

「無理無理、痛い」


そんな感じで、右腕だけがどうしても通らない。


でも、…実は原因はわかっている。


極力彼方さんの体を見ないようにと、わたしが距離を取っているから。

だから、余計にやりづらいのだ。


すると、彼方さんも同じことを思っていたようで――。


「そんなに距離開けるから、やりづらいんやろ?それやったら…」


そうつぶやいた彼方さん。

その瞬間、わたしの背中に手を回したかと思ったら、打撲していないほうの左手でわたしの体を抱き寄せた。