milk or coffee? 〜甘く、苦く、溶かされて〜

わたしが隠れていた物陰に、さっきの男の人が顔をのぞかせた。

いろいろと恥ずかしくて、わたしは苦笑いしながらペコペコと会釈する。


「お店が20時までって知らなくて…。さっきたまたま見つけて入ってきたんですけど、…また改めますねっ」


とっくにラストオーダーは終わっているであろう閉店間際のお客なんて迷惑だし、とっさに隠れて怪しすぎだし、それにお腹は鳴り続けるしで…穴があったら入りたい。

『また改めますねっ』なんて言っちゃったけど、恥ずかしすぎてもうこれない。


家からも近いし、せっかくよさそうなカフェだったのに…。


とぼとぼと、もときた暗くて狭い通りを戻ろうとしたとき――。


「…ちょっと待ってください!」


なぜか後ろから呼び止められた。


「よかったら、中どうぞ」

「…え?でも、もう閉店なんですよね?」