異国に一人嫁ぐのは心細い。友好的な人がひとりでもいてくれてホッとする。
次に挨拶に現れたのは、黒髪、黒眼の精悍な雰囲気の男性だった。まだ若く、ウィルフリッドと同じくらいの年頃に見えた。
「このたびはご結婚、おめでとうございます」
男性は祝辞を述べると、アリスを見てにこりと笑う。
「妃殿下、はじめまして。私はロジャー・ポーターと申します。陛下の側近としてお仕えしております」
「まあ、そうなのですね。これからよろしくお願いします」
アリスが会釈を返すと、ロジャーは意味ありげにウィルフリッドに視線を送る。
「陛下が是非ともアリス殿下を娶りたいと熱望されたのですが、理由がわかる美しさです」
「ロジャー。余計なことを言うな」
ロジャーが続けた言葉をウィルフリッドが遮る。これ以上喋ることは許さないとばかりに、ロジャーを睨み付けていた。
(陛下が熱望された?)



