私と先輩はカバンを持つと、学校を後にした

「美波ちゃんは右側でしょ?僕、今日自転車で来たから送っていくよ」

……いや、えっ?

それってあれだよね、あれがあーしてこうして

……

私の思考回路が停止してると先輩に呼ばれた

「お待たせ。さぁ後ろに乗って」

やっぱり二人乗りだ

カップルがしてるあれね

「えっ!隣歩くだけでもいいですよ」

「いいから、てか僕が乗って欲しいだけだから早く!」

先輩に急かされるので、私は渋々先輩の自転車の後ろに乗った

「捕まっててね!でないと落っこちるよ」

「は、はい」


先輩の制服の裾をぎゅっと握ると

「それじゃあ本当に落ちちゃうから、ほら」

と、先輩は私の手を取って、自分の腰に私の腕を回した

(し、心臓の音がやばい。先輩に聞こえちゃわないかな)

「今度こそ行くよ。道案内よろしくね」

「わ、分かりました」

う、ドキドキしすぎて息が上手く吸えない

いつもの道が、家までの道のりが、長く遠く感じる

この時間が終わってしまいませんように

心の中でそう祈りながら、いつもの道を自転車で帰る

二度とないであろう光景が、過ぎてしまいませんように