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——キーンコーンカーンコーン
「ここに4を代入して…」
「つまりx=78ってことか?」
「そう!」
約束通り、数学の課題を教えてあげる。
一つの学校の机に、向かい合って座って課題を教える。
「ねえ見てあの2人、ほんと目の保養だよね〜」
「もうそろそろくっつくんじゃないの?」
周りのみんなは、私と伊織くんを好き放題言ってるの。
でも、悪い噂じゃないから、どうだっていい。
むしろ、良い噂なんだから。
「で、次の問題も同じようにして…」
「あ、ってことは……」
——あ、いい匂い。
伊織くんの頭から、シャンプーのふわふわしたシャボン玉のような匂いが鼻を掠める。
「できた!あってる?」
「正解〜!すごいね伊織くん、理解が早い!」
「美奈の教え方のおかげで理解できたよ」

