「美耶子、なんかいいことでもあったのか?」
「え?」
早崎から「朝からニヤニヤしてるぞ」と言われ、自分の頬に手を当てる。
「え、本当に?」
「なんだ。本当にいいことあったのか?」
早崎は私に「だから、そんなに嬉しそうな顔してるのか」と資料に目を通す。
「実はさ、私片霧先生と付き合うことになったんだよね」
私がそう言うと、早崎は「はあっ!? 付き合うことになったあ!?」と驚きを見せている。
「そ、そんなに驚かなくても」
「いやいや、ちょっと待て!」
早崎は私の隣に来ると「おいおい。付き合うことになったって、どういうことだよ?」と問い詰めてくる。
「つーか、なんであんな悪魔と付き合うことになるんだよ」
早崎はブツブツ言っているが、私は「うん、まあ……色々ありまして」と答える。
「色々……ねえ。 おい。お前まさか、あの悪魔とヤッたのか?」
「えっ!? ち、違うよ!」
慌てて否定するが、早崎は「本当にヤッてないのか?」と疑問に思うようで、まだ聞いてくる。
「本当にヤッてないって。……ただ」
「ただ。なんだよ?」
早崎が私を横目に見る。
「看病は、してもらった」
「看病?」
「うん。熱があった時にね、看病してくれたの、片霧先生が」
早崎はそれを聞いて「ふーん」と私を見る。
「え、なに?」
「いや? ああいう男がタイプなんだって思ってさ」



