小林、藝大行くってよ

「あはは! やっぱり、Tシャツおもろいわー!」

 最高の笑顔を見せる海荷ちゃん。よっしゃ、ウケたで!

 海荷ちゃんとは、笑いのツボが合うんや。そやから、いつもふたりでゲラゲラ笑っとったなぁ。

 ちなみに今日のTシャツは、キュートなニワトリの下に「からあげ」て書いてあるやつや。ラブリーながらも哀愁漂う、なんとも秀逸なデザインやで。

「一佐くん、お腹空いとらん? とりあえず、マクド行こか?」
「そやな、腹ペコリーニョやな! マクド行くでー!」
「行こ行こー!」

 なんや、おれらカレカノみたいやんけ。付き合うてたときと、なんも変わらへんやんけ。
 あのころも、ようマクドに行ってだべっとった。幸せな日々やったわ。

 ……いや、いまも幸せやで。青春に対する懐古の情ってやつや。大人になった証かもしれんな。

 ひとまず、おれと海荷ちゃんはマクドへ向かった。

「最近な、めっちゃポテト食べたくなるねん」

 そう言うて、海荷ちゃんはポテトのLサイズを3つ頼んだ。……え、3つ!?

 おれの知る海荷ちゃんは、食が細くて、風が吹いたら飛ばされてしまいそうなほど華奢な女の子やった。いや、いまでも華奢なんやけど。

 ポテトは常にSサイズやったのに、Lやて? しかも3つやて? たった半年で、食いしん坊にイメチェンしたんか?

「……ポテトしか食わんのか?」
「うん。ポテトだけでええねん」
「そ、そうか。ほなおれは、いつも通りビッグマックのポテトLセット、ドリンクはファンタグレープ、あとナゲットはバーベキューソースや」
「ふふ、一佐くんは、やっぱりそれやんな」

 ざわついた心を、海荷ちゃんがすべて浄化してくれた。この笑顔、プライスレス。

 もしかすると、今日はたまたまペコリーニョがすぎる日なのかもしれへん。うん、きっとそうやろ。そういう日もあるわ。レディーはデリケートやしな。
 
「はぁ~い、お待たせしましたぁ~」

 この店の名物スタッフであるベテランのおばちゃ……お姉さまが、トレーに次々と商品を置いていく。変わっとらんな、この動きと喋り方。

 ジェントルマンのおれは、もちろん海荷ちゃんのトレーも一緒に持つ。大量のポテトのフレーバーが、めちゃくちゃ食欲を刺激してくるやんけ。ペコリーニョ!

「ほな、いただきまーす!」

 ふたりで手を合わせて、実食!

 東京ではヘルスィーなもやし生活が続いとったが、帰省してからジャンクな食事が増えてしもた。しかし、これが美味いんや……ギルティ……。

「あ~美味しいなぁ。やっぱり、マクドのポテトは最高や」
「そ、そやな」

 ひょいひょいとポテトを口に放り込む海荷ちゃんに面喰いつつ、おれはハンバーガーにかぶりついた。