偽りのアイドル

「……あなたって、本当に……大人みたいだわ」


「そうですか? ……なわけ、ないです」


大人ならば……良かった。


あの時の判断を、最善にしてくれただろうに。


あの時……冷静に、判断、できたのに……。


『お母さん…っ、お父さん……。
なんで……なんでよぉ……っ!!』


『私……の、せい……なの……?』


『わかりました。
りおんとして、莉音はやめればいいんですよね』


偽りから始まったこの物語。


最後など、ない。


それでも、私は、この選択を選んで良かったと、思っている。


偽りだとしても、愛されているから。


それだけで、良かったと思える。


「ぁ……ごめんなさい。
あなたの社長から話は聞いていたのに……そんな事言ってしまって……」


あ……そうだ、理事長の前なんだ。


「いえ……」


「あなたは、偽りなんかじゃないわ」


何を根拠にっ…!


「だって、あなたは、あなたのまま世界へ羽ばたいたんですもの」


でも……っ。


そんなの、ただの言い訳にしかならない……!


だって、そのままで芸能界へ飛び込んだ人なんて沢山いる。

私は、その中の落ちたうちの一人。


だって、ファンの人達は、どんどん離れていった。


それが、真実、でしょう?


「信じられなくてもいいわ。
私や乙葉、友希が……認めるから」


認めて、くれるの…?


「それに、仁奈も……ずいぶん前から認めていたのよ?
“莉音”も、“りおん”も、“莉央”も、全てあなたで、あなたの意思を尊重する、とも言っていたわ」


しゃ、ちょ……。

「……それで?
私は…二人に、伝えればいいのよね。
その前に乙葉と友希を呼ばなきゃだけど……。
一緒に頑張りましょう」


っ…!


「は、はい!」


絶対成功させよう……!!


よし…!!