偽りのアイドル

*友希の言い分*


俺は、父上が嫌いだ。


あんな父親、俺から願い下げ。


姉上だって、あいつがいなければ、今だって一緒にいれたかもしれない。


俺は、姉上といたかったんだ。


唯一の家族だと認めた人で、
俺の、母親、父親代わりだから。


それに、ハズいけど、俺は姉ちゃんっ子だから。


俺は……昔、りおんにガチで恋をしていた。


誰にも言ったことないけど。


そんな、当時の俺は、


『姉ちゃぁーん、待って〜』


なんていう、弱虫で。


『どーしたの?
もー、かっこいい顔が台無しっ。
ほら、前向く!』


ってかっこよくて、俺の憧れで。


姉ちゃんが苦しんでいるのに気が付けなかった俺。


気づいた時は、もう遅くて。


だから、気付いても……俺は気付いてないフリをしたんだ。

俺、アホだよなあ。


あの時、話せば、何かは変わったかもしれない。


そして、その少し経った時、父上がやってきて、とんでもない提案をしたんだ。

姉ちゃんをダシにして、経営拡大しようと。


信じられない。


すぐさま断ったが、俺に黙って……っ!


姉ちゃんは、姉上は、家を出ていった。


俺のせいだ。


俺が、姉上を、追い出してしまったんだっ。


俺が……。



そして、その翌日、父上に連れられて行ったのは、叔母様の家。


なぜ、ここに?


いたのは、いつ見たときよりも、元気な姉上。


良かった。


けど、俺は気付いてしまった。


姉上が、父上を怖がっている事に。


そして、きっと無表情であるだろう俺を見て、怖がっている事に。


だから、俺は、陰ながら支えた。


俺の姿を見ず、幸せになってほしいから。


父上にもバレないように、隠して、隠して、隠した。


それを救ってくれたのは、りおんだ。


そして、莉央、あんたも。


それだけは、感謝してる。


りおんとしても、莉央としても、姉上を、姉ちゃんを救ってくれたから──。


……俺は、闇に染まった、と思う。


見るもの全てがつまらなくて、色が無いように見えて。


でもさ、俺、今、楽しいよ。


だから、俺も、姉ちゃんも、大丈夫だ。


莉央……りおん、本当に感謝している。


でも、だからこそ、俺は、大切なりおんが莉央……いや、莉音だったから、莉央を、莉音を認められない。


これは、ただの、俺のエゴ。