偽りのアイドル

「……ん、そうだよね……」


「俺は、歌で魅了するんだっ……!」


「……」


「ごめんね、大声出しちゃって……」


「でも、先輩は、正しい」


っ……かもしれない、けど、さ。

友希くん……?


「でも……『正しい』が通る世の中じゃない」


「んー……だよねぇ。
私は、『正しい』を父上に押し付けて……コレだもんね」


……。


「姉上……」


「お姉ちゃんって呼んでくれないっ?
お姉ちゃんからの、お願い!」


「……姉上は、姉上ですので。
それに、父上がお喜びになられないかと」


「あんな父上の事考えて……ほんとに友希は……それでいいの…?
あんなに……辛そうなのに……」


「俺は……それしかないので」


それしか、ない……から、やってるの?


そんなの……酷すぎる…っ!


「では……また」


ぁ……帰っちゃったぁ。


「……友希、また父上にこき使われてる」


また…?


「なんでっ……なんで友希はっ……!」


……。


「……ごめん、私も帰る。コーチ、来るだろうから、コーチ来たら、説明して帰ってもらって」


「え、う、うん」


「……うん」


「じゃあね」


……。


「……乙葉ちゃんまでいなくなっちゃった。
コーチさん待ちますか〜」


「うん……」


心配だなぁ……二人共。


「あ、こんにちは〜。
コーチの星崎(ほしざき)鈴音です〜。
……って、あれ? 乙葉は?」


え?
理事長!?


「え……あ……帰っちゃいました」


「あら!
莉央ちゃんに煌くん!!」


「ゆっきーもいなくなったんすよ〜!」


言って良いのかな? それ。


「ゆっきー……友希?
友希が、いたの?」


「はい!!」


「はい」


「そ、う……ごめんね、友希」


理事長も?

一体……。


「……あはは、2人もいないなんて……今日はレッスンないのかな?
またねっ」


みんな、逃げてく。


ほんとに、ほんとに、何があったの……?