偽りのアイドル

「ね〜ね〜、りおちゃ?」


「どうした?」


「いや、いつダンスレッスンとボイストレーニングしよっかなって」


あ……そっか、アイドルになるんだもんね。


「私……その、」


「ん?」


「いや、なんでもない」


言えない。


期待させておいて、歌えない、なんて。


私が、歌えなくなったのは、アレがあったから。


母さんと父さんの事もっ……。


……。


「とりま、今日の放課後やろー!
せんせーいるから!」


先生、いるの? ダンス、とか歌のコーチかな?


「煌くんもくる? アイドルでしょ〜?」


あ〜、


「今日、煌は、友希くんから離れないと思う……」


煌の友希くん好きは凄いから……。


「そ、っか」


……ほんとに、この姉弟は、何があったの?


他人が踏み切ってはいけないとわかるけど。
いくらなんでも、これはおかしい。


「……ね、乙葉」


「ん?」


「……友希くんと、何があったの?」


「……ごめん。
……上手く、言葉にできないし、
勝手に言って良いのか、どうかとか……わかんない」


……。


「ごめんね、無理言って」


「いや? 別にみんな聞くよ? 大丈夫だから!」


じゃあ、どうして、そんな無理に作った笑顔なの。

どうして、泣きそうなの。


でも、私はまた、何も言えない。