偽りのアイドル

千年、いや一万年に一人の逸材と言われたアイドルがいた。


けれど…


「みんな〜、今までありがとう〜っ!」


引退してしまいました。


彼女を追う人は数知れず。


そんな彼女…“りおん”の今は…。



─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*



「行くわよー」


「はぁい」


「……はい」


「全く。莉音(りおん)はほんっと可愛げないわよね!
よくりおんをやれていたものよ」


はあ。とわざとらしいため息と共に言われた言葉。


仕方ないじゃないか。
自分の素がこれなのだから。


「…社長、仕方ないですよ」


親代わりの社長にそう意見を申す。


「そーそー。姉ちゃんはこーだからさあ」


「……(こう)


全く。
弟の煌をたしなめる。


「煌も社長も莉音をいじめないでくださいよ」


「……ありがと、風海(かざみ)


専属マネ……専属マネージャーだった風海の助けに感謝をする。


「っ……」


「あらまあ、まあ〜!
莉音が風海をいじめてるわ〜」


「姉ちゃん、駄目だって」


え?

いや、感謝しただけで赤面したんですけど……?

え、私が駄目なの?