偽りのアイドル

「クラスについた〜」


「……乙葉、私も一緒に入っていいやつ? これ」


こういうのって、転校生は、後から先生と入っていくのでは?


いや、わからないけどさ。


「ん〜…。
鏑木(かぶらぎ)せんせ〜」


ん!? 先生呼ぶ!? 今!


「どうした?」


「りおちゃどーするの?」


「あ〜、一緒に入ってきてもらうわ」


「……はい」


やっぱり。


「今日は転校生がいるぞー
──入れー」


「……」


ちょっと緊張しながら入る。


「地味じゃね?」


「こんな奴がSクラス?」


「ガリ勉そー」


「あ、だからか。ガリ勉」


色んな声が飛び交う。


「……天音莉央。関わらなくて、いいです」


関わって、欲しくない。


「何それ。信じらんない」


「こっちから願い下げって感じー」


心無い言葉を沢山投げつけられるけど、大丈夫。

アイドルの時はもっともっと来てた。


「りおちゃ〜! よろしくね!」


乙葉……。

助けてくれた、のかな。


いくら慣れているとはいえ、流石に少しは辛いもんね。


「……よろしく、乙葉」


「え!? 乙葉様!?」


さ、様…!?


「りおちゃと私はね、アイドルコンビなの!
だから、よろしくね?」


乙葉のフォロー、かな。


「それにしたって、なんでこんな地味と…!」


満葉(みちは)


満葉さん、か。


絶対に私に反対だなぁ。


というか、乙葉の熱狂的ファン、みたいな。


「……私のとこの天音事務所と乙葉のとこの鈴音プロが業務提携して、コンビになったの」


「天音……」


天音事務所といえば、りおんのところ、でしょ。


どうせみんな、りおんのところしか、見ない。


どうせ…!!


「りおちゃはりおちゃで、あたしと輝こ!」


私は、私で輝く…?


私は、このままで、輝ける…?


「りおちゃはありのままで愛されるのっ!」


……あーもー、自己中だなあ。


……乙葉と、もう一度、私の素で、輝いてみせる!


まあ……私にはトラウマと、大きな障害がある、から…。


どう、かな……。

でも、絶対に……!


「……絶対輝こう!」


「……んんっ。
えー、西科(にしな)は、生徒会交代な。莉央がやる」


「はあ!?」


えっと、西科さんが、満葉さん、と。西科満葉さん。


人の顔と名前を覚えるのは得意だから、早く全員覚えようっ。


「首席が変わるかもな〜、楽しみだな〜」


「っ…」


「え、(じん)が…?」


仁さん?が首席、なんだ。


乙葉と親しそうだなあ。


「……」