偽りのアイドル

「ですが……莉央さん、ありがとう。
久しぶりに仁奈と喋ったわ」


「社長ともっと喋ってくれたら、私は十分です。
社長も、嬉しそうでしたので」


私に感謝はしなくていい。


家柄、なんてせいでみんなが出来ることを出来なくされるのは、許せない。


だから、これは、私のエゴなんだ。

ただ……母さん、父さんの事を忘れられなくて、
犯人を恨み続けている私のエゴなんだ。


「乙葉」


「はい」


「莉央さん」


「はい」


……なんだろう?


「あなた達、アイドルやる気はありますか?」


っ、え……?


理事長は知ってるはず。
私が、りおんだって。


「ほら、乙葉はりおんさんを超すのでしょう?
莉央さんはアイドル研究でしょう?」


ね?と可愛らしくウインクしてきた理事長。


「コンビになったらどうかと。
もう、天音事務所と、鈴音プロダクションが業務提携しているわ」


……逃げ道、塞がれたなあ。


でも、言っておかないと。


「ごめんなさい。
やる気無いんです」


「いえ。
仁奈からお願いされまして」


社長〜っ!!


「……鈴音おばさん。
本当に、いいんですか?」


ずっと黙っていた乙葉。