俺は海へ繰り出した。俺は日焼けしていた。
 朝から行った。半袖にズボン姿。リュックを背負った。曇りだがうだるように暑い。
 マンションから出ると、「不審者出てきた」と呼ばれた。
 行く先で制服やジャージの女子中高生とあったが、「ばい菌」と呼ばれた。俺はため息をついた。
 俺を見ては何か言ってくる。「おい」と怒鳴ると逃げていく。まったく困ったやつらだ。

 海岸についた。
 堤防を上り、砂浜に降りた。天気は悪く、誰もいない。海は穏やかだった。波の音がした。
 海の家があった。どうやらやっているようだ。若い女性の店員が独りいた。暇そうにしている。俺はその海の家の前の砂浜にたたずんでいた。すると、雨がぽつぽつ降り始めた。
 「雨か」と俺は思った。憂鬱(ゆううつ)な気持ちがさらに増す。