「ああ、美璃ちゃん。お疲れ様」
会社の前だと悪いかと思ったので、少し離れた駅前で待ち合わせた。
美璃が彼の車に近付いていくと、運転席の窓が開いて、颯士が顔を出す。
微笑でねぎらってくれた。
左ハンドルなので、ロータリーの乗降側に運転席がある。
美璃は近くで彼の顔を見られて、仕事で張り詰めていた気持ちがほどけるのを感じた。
「お迎えに来てくれるなんて、ありがとうございます。わざわざすみません」
乗降のために停めているだけだったので、美璃は急いで乗り込んだ。
昨日も乗った助手席に収まり、シートベルトを引っ張り、お礼を言う。
「いい? 出るよ」
美璃がシートベルトをしっかりかけたのを確認して、颯士が言った。
そのまま車は街中へ向かって走り出す。
「颯士さん、お仕事上がりが早いんですね」
何気ない会話が始まった。
自分の気持ちが昨日よりずっと落ち着いているのを、美璃は自覚する。
美璃のそれに、颯士はさらりと返答した。
「ああ。今日は早上がりできたんだ。結構、時間に融通は利くから」
「そうなんですか」
確かに会社勤めであるとはいえ、役員なら、一般社員とは違うだろう。
実際、颯士はきちんとした仕事用スーツ姿で、退勤後なのは明らかだった。
それに、『早上がり』してくれたのも美璃のためなのかもしれない。
だけど颯士はそう言わなかった。
そういう気遣いを含めて、本当にすごいひとだなぁ、と改めて感じながら、美璃はシンプルに相づちを打った。
「夕食前に、ちょっと買い物に行きたいと思うんだけど、どうかな?」
車はどこへ向かっているのか、街中をそのまま突っ切っていく。
走りながら、颯士が提案した。
「お買い物ですか。私は構わないですけど……」
なにを買うのかわからなかったけれど、時間はあるし、構わない。
美璃はそのまま答えた。
颯士は横顔で少し微笑み、「ありがとう」と答える。
しかし軽い気持ちで受け入れてしまったことを、美璃は数十分後に後悔することになった。
会社の前だと悪いかと思ったので、少し離れた駅前で待ち合わせた。
美璃が彼の車に近付いていくと、運転席の窓が開いて、颯士が顔を出す。
微笑でねぎらってくれた。
左ハンドルなので、ロータリーの乗降側に運転席がある。
美璃は近くで彼の顔を見られて、仕事で張り詰めていた気持ちがほどけるのを感じた。
「お迎えに来てくれるなんて、ありがとうございます。わざわざすみません」
乗降のために停めているだけだったので、美璃は急いで乗り込んだ。
昨日も乗った助手席に収まり、シートベルトを引っ張り、お礼を言う。
「いい? 出るよ」
美璃がシートベルトをしっかりかけたのを確認して、颯士が言った。
そのまま車は街中へ向かって走り出す。
「颯士さん、お仕事上がりが早いんですね」
何気ない会話が始まった。
自分の気持ちが昨日よりずっと落ち着いているのを、美璃は自覚する。
美璃のそれに、颯士はさらりと返答した。
「ああ。今日は早上がりできたんだ。結構、時間に融通は利くから」
「そうなんですか」
確かに会社勤めであるとはいえ、役員なら、一般社員とは違うだろう。
実際、颯士はきちんとした仕事用スーツ姿で、退勤後なのは明らかだった。
それに、『早上がり』してくれたのも美璃のためなのかもしれない。
だけど颯士はそう言わなかった。
そういう気遣いを含めて、本当にすごいひとだなぁ、と改めて感じながら、美璃はシンプルに相づちを打った。
「夕食前に、ちょっと買い物に行きたいと思うんだけど、どうかな?」
車はどこへ向かっているのか、街中をそのまま突っ切っていく。
走りながら、颯士が提案した。
「お買い物ですか。私は構わないですけど……」
なにを買うのかわからなかったけれど、時間はあるし、構わない。
美璃はそのまま答えた。
颯士は横顔で少し微笑み、「ありがとう」と答える。
しかし軽い気持ちで受け入れてしまったことを、美璃は数十分後に後悔することになった。



