君のスガタ

 松永先輩は目を泳がせながらも、私と目を合わせた。

「…柚が高校二年生の時の春休みの時」

 松永先輩は肩に手をつけてから、照れくさそうに言う。

 意外にも最近のことだったとは。

 十一月なのに、寒さなんてないくらいにその日は清々しくて、気持ちよかった。

「…好きになったのはすぐだったよ。あの時から柚を想っていた。時間や年数なんてないくらいに……」

 松永先輩は私の右腕を握りしめてから、満面な笑みを浮かべていた。

 心の底から嬉しそうにして。

 かき氷のシロップをスプーンで掬ってそのままにすると、氷の雫が舞い落ちる。

 その雫が松永先輩の方に落ちてきたような感覚だ。 

 その一筋の氷の雫が私の元にやってきて、胸の奥からホットアイマスクをするように温かくなった。

「私のこと相当好きだったんですね。私のことどこを好きになったんですか?」

 私は笑顔で聞くと、聞き返された。

「そしたら、俺のことどこ好きになったの?」

 松永先輩は私の目を見据えてきた。

「じゃあ、一斉のせいで一緒に言いましょう。一斉のせいで」

 私は松永先輩の目を見て、お互いに口を開く。

「「君のスガタ」」

お互いに指を指して、同じ言葉を言い合った。

「「同じだ」」

 私と松永先輩はまた言葉を重ねる。

 お互い、笑いあって、ゆっくりと歩いた。

 君のスガタがあるから、これからもやっていける。

 君のスガタを見ていくよ。これからも……