ユキは、にいなに教えてもらった住所を元に歩いた。
「米田興信所」ここがにいなの知り合いがいるという興信所だ。
緊張しながら階段を上って、ノックをすると、奥から「どうぞ」と声がした。
奥に30代後半の若い男性がいた。
「君が有馬さんの知り合いの方かな?」
「はい・・・。宮島ユキです。」
「僕は、米田光佑といいます。探偵をやっております。有馬さんから話は大体聞いてます。
彼の浮気調査でよろしいですか?」
「はい。」
米田さんは「辛かったですね。」と優しく声をかけてくれ、秘書の方からコーヒーをもらった。
「調査に1か月時間がかかります。依頼料は、調査終了後にお支払いください、分割払いでもかまいません。
何かご質問や疑問などありますか?」
「えっと・・・・もしも俊哉や高梨さんにバレたら、どうするんですか?」
「その点、ご心配いりません。僕は、探偵歴20年というベテランですので、そんな失敗はしません。」
米田さんは、優しく微笑み、失敗はしないという言葉にユキは、安心した。
探偵に依頼をして、一か月、信じて待つことにした。
俊哉と高梨が一線を越えてないということを。
帰り道、ユキは、俊哉と高梨がラブホに入っていく姿を目撃してしまった。
あまりにも衝撃すぎて、ショックで、ユキは、呆然と立ち尽くした。
二人は、ユキに気づかず、そのまま建物の中に入っていってしまった。
帰宅後、ユキは、トイレに駆け込んだ。吐いてしまった。
気持ちが悪かったのだ。俊哉は、ずっと自分を愛してくれると思っていた。
まさか、会社の同僚とラブホに入るなんて。やることを想像しただけで気持ちが悪くなってしまったのだ。
俊哉とは、2カ月も連絡を取ってないが、メッセージ送りたいが、邪魔だとか言われたらとても怖くなってしまった。
ユキは、思い切って、俊哉の交番に駆け込んだ。
駆けこんだ時、俊哉の上司らしき男性が「どうされたんですか?」と慌てて来てくれた。
「はぁはぁはぁはぁ・・・・」
「落ち着いてください。ゆっくり息を吸って、はいて」
男性警官は、優しく声をかけながら、背中をさすってくれた。
奥からもう一人40代くらいの男性警官が出てきて、「何事ですか?」と聞いてきた。
「水を持ってきてくれ。早く」
「はい!」
急いで奥へ水を取りに行った。
数分間、ようやく気持ちが落ち着いた。
「落ち着いたかな?何があってここにきたか話せるかな?」
「すみません・・・・。あの、俊哉は。中島俊哉さんって最近、交番へ来てますか?」
「中島君?最近、出勤してないね。有給をもらいたいって勝手にとったままなんだよ。」
ユキは、絶句した表情で「そうですか・・・」
「あなた、中島君がどこでどうしてるか知ってるかな?」
「・・・・・・・」
ユキは、昼間にラブホに女性と入ったことを相談した。上司さんは「やはりか」と顔をした。
「あいつの女癖の悪さは、署内で問題になってたんだよ。こんなかわいい彼女さんがいながらほかの女性とも不貞行為してたとは。」
「今、探偵に依頼しているんです。」
上司さんは、「わかった」と優しく微笑み、家まで送ってくれた。
帰り道、上司さんもとい片岡雄一さんは、20年以上の経歴を持つベテラン警察官だった。
ずっと「大丈夫だよ」と優しく声をかけてもらい、ユキは、内心申し訳なく思ってた。
自宅に着いたときは、すでに落ち着いており、しっかり頭を下げて、お礼を言った。
片岡さんは、「大丈夫だよ。またいつでも相談においで。中島のことは、こっちから連絡してみるからね」と
言ってくれた。
ドアを閉めて、ロックチェーンもかけて、ベッドに倒れこんだ。
スマホを見ると2カ月ぶりの俊哉からの連絡だった。
「今日も交番勤務きっついよ~。今度デートしような。」と短めだった。
「ウソつき」とユキは、つぶやいた。
ラブホに行ってること、上司さんや若手の警官からすべて事情聴いて知ってる。
とユキは、メッセージを送りたかったが、”あえて”知らないフリをして「体に気を付けてね」とだけ
打って、ふるふると震える指先で何とか「送信」の2文字を押したのだった。
翌朝、ユキは、体がすごく重い感じがして、熱を測った。
「39度」という数字が出てしまい、「はぁ~。ストレスかな・・・・」と思い、上司に休む連絡を入れ、病院へ行くことにした。
病院まで行く体力がないのでタクシーを利用することに。幸い、自宅から病院まで10分程度だったのでタクシー代もかからなかったが、1000円もとられて、内心ちょっと痛かったユキだった。
受付を済ませ、名前を呼ばれるまでの間、持ってきた小説を読むことにした。
この小説は、今の部長に勧められた本で浮気男を成敗するというなんともスカッとするお話だとか。
ユキは、読んでるときに主人公と男が自分と俊哉と重なってしまい、とても苦しくなって、読む気力がなくなってきたので
ボーッとすることに。
平日でも病院は混んでいて、定期健診にきた年配者、風邪をひいたであろう子供たちが数人いて、うろちょろしたり、騒いだりしては、母親に怒られるという繰り返しで、たまに子供が自分にぶつかって来て謝りもしなくてイラッとしたが、母親が
「コラ!お姉さんに謝りなさい!すみませんでした。」と来てくれた。3歳くらいの女の子が「ごめんなしゃい・・・」と謝ってきたので、「大丈夫ですよ」とほほ笑むのが精いっぱいだった。
そして受付を済ませて30分後くらいにようやく名前を呼ばれた。
診察室に入ると30代くらいの女性医師だった。
「問診表に今朝、熱が出たのですね。ちょっと、聴診器当てますね。服の上からしますので、めくらなくても
大丈夫ですよ。」
とても優しく丁寧に診察してくれたおかげで、ユキは、内心安心しきってた。
診断結果は、ストレスからくる風邪で3日は安静が必要だと言われた。
「お薬出しますので、しっかり飲んで、休めば大丈夫ですよ」
医師は、優しい声で話してくれ、ユキは「ありがとうございました。」としっかり頭を下げて
診察室から出て、再び受付で代金はらって、処方箋をもらって薬局へ行った。
診察代で800円はして、薬局で1000円、タクシーで1000円と1日でとても痛い出費だったが、仕方ないかと内心なだめていた。
会社に再び「医師から3日安静が必要と言われました」と話し、部長は「1週間休んで大丈夫よ。」と1週間も休みをくれた。
ユキは、療養期間だと思って、ゆっくり休むことにした。
昼を食べ、薬飲んで寝てると、興信所から経過報告の連絡があった。
「宮島さん。電話大丈夫ですか?」
「はい・・・。ただ、ちょっと体調悪くて、寝てますが・・・・」
「そうですか。では、また体調がよくなったら折り返し電話します。」
「あの・・・何かあったんですか?」
「経過報告を想ったんですが、今、体調がよろしくない宮島さんに話すのは、ダメージ大きいので
落ち着いてるときにします。ゆっくり休んでくださいね。」
そう言って電話は切られた。
一体、なんだって言うのか?あまり深く考えないようにユキは、再び深い眠りについた。
夕方19時・・・ユキが目覚めたときはすでに真っ暗だった。
「やばい。夕飯・・・おかゆでいっか。食欲もないし。」
ユキは、おかゆを作りおきをし、薬を飲んで再び寝床についた。
スマホをいじることなく、眠りについた。
ユキは、夢で何度も俊哉が高梨と遠く離れてゆく夢を見た。
泣いたり、吐きそうになったり、いろんな感情が巡っては、目が覚める。
「俊哉、嘘なんかついてないで正直に全部、教えてよ!」
ぶつけようのない怒りと悲しみは、ユキの寝室に静かに響いたのだった。
「米田興信所」ここがにいなの知り合いがいるという興信所だ。
緊張しながら階段を上って、ノックをすると、奥から「どうぞ」と声がした。
奥に30代後半の若い男性がいた。
「君が有馬さんの知り合いの方かな?」
「はい・・・。宮島ユキです。」
「僕は、米田光佑といいます。探偵をやっております。有馬さんから話は大体聞いてます。
彼の浮気調査でよろしいですか?」
「はい。」
米田さんは「辛かったですね。」と優しく声をかけてくれ、秘書の方からコーヒーをもらった。
「調査に1か月時間がかかります。依頼料は、調査終了後にお支払いください、分割払いでもかまいません。
何かご質問や疑問などありますか?」
「えっと・・・・もしも俊哉や高梨さんにバレたら、どうするんですか?」
「その点、ご心配いりません。僕は、探偵歴20年というベテランですので、そんな失敗はしません。」
米田さんは、優しく微笑み、失敗はしないという言葉にユキは、安心した。
探偵に依頼をして、一か月、信じて待つことにした。
俊哉と高梨が一線を越えてないということを。
帰り道、ユキは、俊哉と高梨がラブホに入っていく姿を目撃してしまった。
あまりにも衝撃すぎて、ショックで、ユキは、呆然と立ち尽くした。
二人は、ユキに気づかず、そのまま建物の中に入っていってしまった。
帰宅後、ユキは、トイレに駆け込んだ。吐いてしまった。
気持ちが悪かったのだ。俊哉は、ずっと自分を愛してくれると思っていた。
まさか、会社の同僚とラブホに入るなんて。やることを想像しただけで気持ちが悪くなってしまったのだ。
俊哉とは、2カ月も連絡を取ってないが、メッセージ送りたいが、邪魔だとか言われたらとても怖くなってしまった。
ユキは、思い切って、俊哉の交番に駆け込んだ。
駆けこんだ時、俊哉の上司らしき男性が「どうされたんですか?」と慌てて来てくれた。
「はぁはぁはぁはぁ・・・・」
「落ち着いてください。ゆっくり息を吸って、はいて」
男性警官は、優しく声をかけながら、背中をさすってくれた。
奥からもう一人40代くらいの男性警官が出てきて、「何事ですか?」と聞いてきた。
「水を持ってきてくれ。早く」
「はい!」
急いで奥へ水を取りに行った。
数分間、ようやく気持ちが落ち着いた。
「落ち着いたかな?何があってここにきたか話せるかな?」
「すみません・・・・。あの、俊哉は。中島俊哉さんって最近、交番へ来てますか?」
「中島君?最近、出勤してないね。有給をもらいたいって勝手にとったままなんだよ。」
ユキは、絶句した表情で「そうですか・・・」
「あなた、中島君がどこでどうしてるか知ってるかな?」
「・・・・・・・」
ユキは、昼間にラブホに女性と入ったことを相談した。上司さんは「やはりか」と顔をした。
「あいつの女癖の悪さは、署内で問題になってたんだよ。こんなかわいい彼女さんがいながらほかの女性とも不貞行為してたとは。」
「今、探偵に依頼しているんです。」
上司さんは、「わかった」と優しく微笑み、家まで送ってくれた。
帰り道、上司さんもとい片岡雄一さんは、20年以上の経歴を持つベテラン警察官だった。
ずっと「大丈夫だよ」と優しく声をかけてもらい、ユキは、内心申し訳なく思ってた。
自宅に着いたときは、すでに落ち着いており、しっかり頭を下げて、お礼を言った。
片岡さんは、「大丈夫だよ。またいつでも相談においで。中島のことは、こっちから連絡してみるからね」と
言ってくれた。
ドアを閉めて、ロックチェーンもかけて、ベッドに倒れこんだ。
スマホを見ると2カ月ぶりの俊哉からの連絡だった。
「今日も交番勤務きっついよ~。今度デートしような。」と短めだった。
「ウソつき」とユキは、つぶやいた。
ラブホに行ってること、上司さんや若手の警官からすべて事情聴いて知ってる。
とユキは、メッセージを送りたかったが、”あえて”知らないフリをして「体に気を付けてね」とだけ
打って、ふるふると震える指先で何とか「送信」の2文字を押したのだった。
翌朝、ユキは、体がすごく重い感じがして、熱を測った。
「39度」という数字が出てしまい、「はぁ~。ストレスかな・・・・」と思い、上司に休む連絡を入れ、病院へ行くことにした。
病院まで行く体力がないのでタクシーを利用することに。幸い、自宅から病院まで10分程度だったのでタクシー代もかからなかったが、1000円もとられて、内心ちょっと痛かったユキだった。
受付を済ませ、名前を呼ばれるまでの間、持ってきた小説を読むことにした。
この小説は、今の部長に勧められた本で浮気男を成敗するというなんともスカッとするお話だとか。
ユキは、読んでるときに主人公と男が自分と俊哉と重なってしまい、とても苦しくなって、読む気力がなくなってきたので
ボーッとすることに。
平日でも病院は混んでいて、定期健診にきた年配者、風邪をひいたであろう子供たちが数人いて、うろちょろしたり、騒いだりしては、母親に怒られるという繰り返しで、たまに子供が自分にぶつかって来て謝りもしなくてイラッとしたが、母親が
「コラ!お姉さんに謝りなさい!すみませんでした。」と来てくれた。3歳くらいの女の子が「ごめんなしゃい・・・」と謝ってきたので、「大丈夫ですよ」とほほ笑むのが精いっぱいだった。
そして受付を済ませて30分後くらいにようやく名前を呼ばれた。
診察室に入ると30代くらいの女性医師だった。
「問診表に今朝、熱が出たのですね。ちょっと、聴診器当てますね。服の上からしますので、めくらなくても
大丈夫ですよ。」
とても優しく丁寧に診察してくれたおかげで、ユキは、内心安心しきってた。
診断結果は、ストレスからくる風邪で3日は安静が必要だと言われた。
「お薬出しますので、しっかり飲んで、休めば大丈夫ですよ」
医師は、優しい声で話してくれ、ユキは「ありがとうございました。」としっかり頭を下げて
診察室から出て、再び受付で代金はらって、処方箋をもらって薬局へ行った。
診察代で800円はして、薬局で1000円、タクシーで1000円と1日でとても痛い出費だったが、仕方ないかと内心なだめていた。
会社に再び「医師から3日安静が必要と言われました」と話し、部長は「1週間休んで大丈夫よ。」と1週間も休みをくれた。
ユキは、療養期間だと思って、ゆっくり休むことにした。
昼を食べ、薬飲んで寝てると、興信所から経過報告の連絡があった。
「宮島さん。電話大丈夫ですか?」
「はい・・・。ただ、ちょっと体調悪くて、寝てますが・・・・」
「そうですか。では、また体調がよくなったら折り返し電話します。」
「あの・・・何かあったんですか?」
「経過報告を想ったんですが、今、体調がよろしくない宮島さんに話すのは、ダメージ大きいので
落ち着いてるときにします。ゆっくり休んでくださいね。」
そう言って電話は切られた。
一体、なんだって言うのか?あまり深く考えないようにユキは、再び深い眠りについた。
夕方19時・・・ユキが目覚めたときはすでに真っ暗だった。
「やばい。夕飯・・・おかゆでいっか。食欲もないし。」
ユキは、おかゆを作りおきをし、薬を飲んで再び寝床についた。
スマホをいじることなく、眠りについた。
ユキは、夢で何度も俊哉が高梨と遠く離れてゆく夢を見た。
泣いたり、吐きそうになったり、いろんな感情が巡っては、目が覚める。
「俊哉、嘘なんかついてないで正直に全部、教えてよ!」
ぶつけようのない怒りと悲しみは、ユキの寝室に静かに響いたのだった。



