降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。



──── なんか今日、なんとなく桐生さんの様子がおかしい気がする。


おかしいっていうか、いつも以上に何を考えているのか分かんない。


・・・・でも、私を見つめる瞳がいつも以上に優しくて、あたたかい。


「ついつい買いすぎちゃったね」

「あのっ、お会計……本当にすみません」

「気にしないで?誠がいつもお世話になってるお礼だから」

「いやいや……お世話になってるのは私の方と言いますか」


だって桐生さん……いつもお高いお裾分けしてくるんだもん。

お裾分けっていうか……わざわざ私の為に買ってきてくれてるんじゃないかって、そう思ったりもして……。

チラッと桐生さんを見ると、ポンポンッと頭を撫でられた。

桐生さんの大きくてゴツゴツとした手が、とても安心する。


「雄大がいいって言ってんだ。気にすんな」

「そう……ですか。ありがとうございます」

「いいよいいよ~。これからも誠のことお願いね~」

「は、はあ……」


お願いって言われても……どうすればいいの?


「ったく。余計なことしか言わねえ口だな」

「ははっ。そんなこと言うなよ~」


──── 行きもそうだったけど、桐生さん……さりげなく車道側を歩いて、私を歩道側にしてくれてる。