降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

「違ぇ」

「だったら傘、買ったらどうですか?」

「要らん」

「ほら、不破さん!どう思います?ほぼ毎回このやり取りですよ?」

「ははっ。誠の場合、子供っていうか……不器用なんだよ」

「……不器用?」


ニヤニヤしている雄大。

コイツ……この状況を楽しんでやがるな。どんだけ性格悪ぃんだよ。


「余計なこと言うなっつってんだろ。どんだけ理解力ねえんだ、テメェはよ」

「まぁまぁ~」


で、そんなこんなで着いたスーパーの中は案の定、相変わらずの冷え具合だった。


・・・・まあ、ぶっちゃけスカート短すぎんのが、気に入らないっつーのもあったけどな。

『服装なんて自由だろ』……と思う反面、『なんで他の野郎に見せてんだ』と苛立ちが積もる。

正直、自分でも“やべぇ男”としか思えねぇ。

きしょすぎんだろ、普通に。

服装にまでケチつけるとか、やべぇとかのレベル越えてんだろ。

雄大の言う通り、ただの“器がちっせえ男”でしかない。

まあ、でも……こんなことが気になるのも“梓だから”……なんだろうな。

女がどんだけ露出してようがなんだろうが、気にしたことなんて一度もねえし。心底どうでもいい。

だが、“梓”……となれば話は別だ。