降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

──── 恋だの愛だの、そんなの俺には分かんねえ。


ただ一つ言えるのは、“恋”だ“愛”だ……そんな言葉じゃ言い表せねえくらい、お前が欲しくてたまらない。

人を好きになる、人を愛す……そんなこと俺にはよく分かんねーけど、梓に対するこの“執着心”や“独占欲”が全ての答えだろ。


・・・・自信はない。危険な目に遭わせないのも、守りきるのも。

危険な目に遭わせない、100%守りきる……そんなできねえ約束はしない。

俺と一緒にいれば、必ず何かは起きると思っていた方が無難。

後悔するかもしれねえ……もちろん俺自身もだ。

だが、この感情はどうにも抑えきれそうにない。

俺は他の誰よりも、お前のことを──。


「梓」


俺が名前を呼ぶとピタッと止まって、ムスッとしながら振り向いた梓。


「ダッツハーゲンの抹茶アイス」

「……あ?」

「ダッツハーゲンの抹茶アイス……3つで」


──── ああ、そういうことか。


「フッ。結局つられてんじゃねーかよ。3つも食うと腹壊すぞ」

「はぁぁ、誠。失言野郎も大概にしないと」

「あ?」

「そういうこと言うならもういいですっ!!」

「ほら、梓ちゃん怒ってる」