降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

──── 俺は本来、誰とも関わるべきではない人間だ。


俺と関わったばかりに、カタギである雄大を危険に晒したことだって何度もある。

初めて雄大を危険に晒したのは、いつだったか……クソガキの頃だったな。

俺はガキながらに責任を感じた。

だから、もう二度危険には晒さないと……そう雄大を遠ざけようとした……が、しつこく付き纏う雄大がうざすぎて根負けした。


「おい。いい加減にしろよ、オマエ」

「いい加減にするのはキミの方だよ。諦めたらどう?」

「…………後悔してもしんねえぞ」

「ははっ。しないよ?だってボク達……“親友”だろ?」

「はっ。勝手に言ってろ」


── それから雄大は危険に晒される度に、『いやぁ~、危なかったね。鍛えておいて良かったよ~』と笑い飛ばしていた。


俺に気を遣っているんじゃないか……どうしても、そう思わずにはいられなかった俺は、事あるごとに『後悔してないか』と問うようになった。


・・・・俺は弱い。

俺なんかと関わって、俺が原因で何かあった時、コイツらは本当に後悔をしないだろうか……と怯えている。

俺が嫌われたくないだの、どうのこうのっつー話じゃねえ。