「欲しくてたまらないって顔をしているね」
「あ?」
「梓ちゃんのこと」
梓の着替え待ちをしている俺達。
全てを見透かしているような、そんな顔で微笑んでいる雄大(ゆうだい)。
『何言ってんだ。相手は高校生のガキだぞ。んなわけねぇだろ』……そう即答できない時点で、俺はどうかしてんだろうな。
「……なぁ」
「ん?」
「後悔してないか」
俺がそう言うと、呆れたような顔をして、やれやれと言いたげな表情の雄大。
「好きだね、そのセリフ」
「別に好きとかそんなんじゃねーよ」
「なら、決めゼリフかな?」
「ふざけんな」
笑いながら俺をおちょくる雄大。
コイツはそういう奴だ、昔から。
「後悔なんて死んでもしないから、僕にはもうそのセリフは必要ないかな~。というか……今、君の周りにいる人達に、そんなことを聞くのは失礼じゃないかな」
「……どういう意味だ」
「そんなの簡単なことだよ。……“誠の傍に居たい”。そう思って、自分の“意志”で君の元に居るんだ。『後悔してないか』……なんてさ、愚問だよ」
おちょくる様子もなく、真剣な眼差しで俺の目を見ている。



