「何に怒ってんだ」
声をかけられたからチラッと横を見ると、壁にもたれて腕を組み、真顔で私をガン見している桐生さん。
「……別に、怒ってません」
「怒ってるだろ」
「怒ってません」
私は桐生さんから顔を逸らして、ただ前を見つめた。
「梓」
──── 桐生さんに『梓』って呼ばれると、胸がキュンとして痛い。
「……私、子供じゃない」
「あ?」
「桐生さんからしたら、子供っぽく見えちゃうのかもしれないですけど、そんな子供扱いされる年齢じゃないんで。私」
なんでこんな可愛げのない言い方しちゃうんだろ……馬鹿だな、私。
そもそも、何をこんなにムキになってるんだろう。
「────── ろ」
「え?」
ボソボソと聞こえた桐生さんの声の方へ振り向くと、桐生さんが迫って来てて、後ろへ下がった私の背中は壁にコツンッと当たった。
壁にトンッと手を当てて、私を見下ろしている桐生さんの瞳が色っぽくて、胸がドキドキして苦しい。
このドキドキやトキメキは、“桐生さん”だからなのか、“男の人”だからなのか……。
──── お母さん……やっぱある程度の“恋愛”は必要だったと思います。
声をかけられたからチラッと横を見ると、壁にもたれて腕を組み、真顔で私をガン見している桐生さん。
「……別に、怒ってません」
「怒ってるだろ」
「怒ってません」
私は桐生さんから顔を逸らして、ただ前を見つめた。
「梓」
──── 桐生さんに『梓』って呼ばれると、胸がキュンとして痛い。
「……私、子供じゃない」
「あ?」
「桐生さんからしたら、子供っぽく見えちゃうのかもしれないですけど、そんな子供扱いされる年齢じゃないんで。私」
なんでこんな可愛げのない言い方しちゃうんだろ……馬鹿だな、私。
そもそも、何をこんなにムキになってるんだろう。
「────── ろ」
「え?」
ボソボソと聞こえた桐生さんの声の方へ振り向くと、桐生さんが迫って来てて、後ろへ下がった私の背中は壁にコツンッと当たった。
壁にトンッと手を当てて、私を見下ろしている桐生さんの瞳が色っぽくて、胸がドキドキして苦しい。
このドキドキやトキメキは、“桐生さん”だからなのか、“男の人”だからなのか……。
──── お母さん……やっぱある程度の“恋愛”は必要だったと思います。



