降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

「うわ……誠……それは完全にアウトだよ」

「あ?」

「器小さい通り越して気持ち悪いよ?それは」

「あ"?」


注意されるほどの短さではないんと思うんだけど……今時なら普通ってレベルの丈にしてあるはずだし。


──── もしかして……。


「冷えるぞ……ってことですか?」

「寒ぃだろ。そこのスーパー」

「え?そうなの?」

「そう……ですね。冷房ガンガンって感じで」

「馬鹿みてぇに冷えすぎなんだよ。真夏でも体冷える」

「へぇ~。そうなんだ」


・・・・こうやって、他の女の人にも気遣ったりしてるのかな。

そう思ったら、少しだけ心がチクッと痛む。


「このままでいいです」


ちょっとムキになっちゃって、本当に可愛げがないなって思う。


「風邪引く」

「引きませんよ、そんくらいで。子供じゃないんですから」

「ダメだ」


『ダメだ』って……『子供だろ』ってこと?

桐生さんからしたら、私はただの子供にしか見えないって……そういうこと?


「とか言って、多少なり嫌なんだろ?梓ちゃんのスカート姿を他の男に見られるのが。全く素直じゃないね~」

「テメェは黙ってろ」


桐生さんはそういうタイプではない。