降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

唯一無二の存在。

私の“親友”── 。


「てかさ、最近どうなのー?」

「え?なにが?」

「お隣さーーん」

「いや、どうもこうも……隣人を極めてる」

「なんだそれ」


ただただお裾分けをし合って、傘を貸して返されて……の繰り返し。

別にどうのこうのっていうのは一切ない。

特別な感情みたいなものも、お互いに無いし……うん。


「隣人極めるのも結構楽しかったりするよ?」

「はぁぁ。マジでつまんないね~。雫さんには黙っててやるから、別に良いんじゃねーの?ソイツでも~」

「いやいや、何を言ってんの……美冬。あの掟……“禁断”を破ったらどうなるか……。無理、絶対に無理!!良いの!?美冬は私が居なくなっても!!」

「だぁから、バレなきゃいいじゃんって話~」

「バレた時が怖い!!鉄則の掟は絶対!!」

「クソ真面目かよ」


──── それに、桐生さんとはそういうのじゃない。


「そもそも学生の相手なんてしないでしょ、桐生さん」

「さぁ~?まぁでも、あの風貌じゃあ女に困ることはまず無いわな~。腐るほど寄って来んじゃね?適当に喰い散らかしてんでしょ」

「……まあ、でしょうね……」


・・・・あまり想像はしたくないけど。