中学の時に美冬がヤンチャしてたって噂は、この高校じゃ有名な話で、過去に喧嘩を吹っ掛けて美冬に負けたって人も、この校内に何人か居るらしい。
『あ?んなもん知るかっつーの。弱ぇ奴の顔なんていちいち覚えてねーわ』って、美冬は全く覚えてないっぽいんだけどね。
──── こうやって、ふとした時に思い出す。
あの日のことを──。
「ねぇ、美冬」
「んー?」
「……無理してない?」
「はぁ?なにがー?」
相変わらずガムを噛んでいる美冬。
美冬が常にガムを噛むようになったのは、きっと……私のせい。
「……『左手が疼くぜ……』みたいな」
「あ?馬鹿にしてんの?」
鋭い眼光で睨み付けてくる美冬。
「ごめんごめん」
私は今、うまく笑えているのかな。
「……はぁぁ。そんな顔すんのやめてくんなーい?別に、梓がどうのこうのってわけじゃないってー。退学とか普通に勘弁でしょ~。そんだけの話」
「……そっか」
──── あれは、高校入学前のことだった。
忘れられない。
今でも鮮明に覚えている。
あの、全身から血の気が引いていく感覚。
生きた心地がしなかったのを──。
『あ?んなもん知るかっつーの。弱ぇ奴の顔なんていちいち覚えてねーわ』って、美冬は全く覚えてないっぽいんだけどね。
──── こうやって、ふとした時に思い出す。
あの日のことを──。
「ねぇ、美冬」
「んー?」
「……無理してない?」
「はぁ?なにがー?」
相変わらずガムを噛んでいる美冬。
美冬が常にガムを噛むようになったのは、きっと……私のせい。
「……『左手が疼くぜ……』みたいな」
「あ?馬鹿にしてんの?」
鋭い眼光で睨み付けてくる美冬。
「ごめんごめん」
私は今、うまく笑えているのかな。
「……はぁぁ。そんな顔すんのやめてくんなーい?別に、梓がどうのこうのってわけじゃないってー。退学とか普通に勘弁でしょ~。そんだけの話」
「……そっか」
──── あれは、高校入学前のことだった。
忘れられない。
今でも鮮明に覚えている。
あの、全身から血の気が引いていく感覚。
生きた心地がしなかったのを──。



