降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

美冬は『ま、害がなきゃ別に良いんじゃなーい?』って、思ったより他人事だし……。

正直、本当になんの害も無いし、この物々交換……じゃなくて、お裾分けし合うのが、ちょっと楽しみになっている自分もいる。

今まで美冬がちょくちょく食べてくれるだけで、ほぼ自分の為にしか作ってこなかった手料理が、毎日桐生さんに食べてもらえて、毎回『旨かった』って言って言われるのが、嬉しかったりして……。


「旨かった」

「ありがとうございます」


今日も今日とて、私と桐生さんはお裾分けをし合う。

こうして私と桐生さんは日々、“お裾分け”するという、めちゃくちゃ謎な関係性になった。

・・・・ちなみに桐生さんは相変わらず降りしき雨の中、傘をさそうとしないから、毎度私の傘を貸している。これも日課みたいな感じになってきた。


「あの、桐生さん。そろそろ傘買ったらどうですか?」

「買わねえ」


とか言って、私が傘を貸すとちゃっかりその傘は使うんだもんなぁ。

まぁ、別に良いんだけど。


「そうですか。じゃ、これ……使ってください」

「ありがとな」

「いえいえ」

「気を付けて行って来いよ、梓」

「桐生さんも」


このやり取りも日課になったのは、言うまでもないよね。