「あ、あのっ……この傘使ってください!!じゃ、さようなら!!」
「……っ!?」
私はぶっきらぼうさんに無理やり傘を押し付けて、降りしきる雨の中、全力で走って逃げた。
少し経って、あることに気が付く。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……追って来てない……?」
走る足を徐々に緩めて、恐々としながら後ろを確認してみた。
「……いない」
・・・・これはこれで自意識過剰みたいな感じがして、全力で走って逃げていた自分がちょっとだけ恥ずかしかったりする。
「寒っ」
5月末、雨に濡れたらそりゃ寒いに決まってるよね。
家方向に逃げるのは危ないかな?とか無駄に考えて、家とは真逆な方へ来ちゃったから結構な遠回りだし。
「……はぁぁ。この時期は本当に良いことがない」
憂鬱な気分になりながら自宅へ向かった。
──── 私は、この梅雨時期が大嫌い。
私の誕生日も、お母さんとお父さんが離婚して、お父さんが居なくなったのも、お母さんの海外赴任が決まって、私は日本に残ってひとりで暮らすって決めたのも全部……この時期だから。
朝も昼も夜も絶え間なく雨が降り続けて、空はどんよりした灰色に覆われ、常に薄暗い日々。
「……っ!?」
私はぶっきらぼうさんに無理やり傘を押し付けて、降りしきる雨の中、全力で走って逃げた。
少し経って、あることに気が付く。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……追って来てない……?」
走る足を徐々に緩めて、恐々としながら後ろを確認してみた。
「……いない」
・・・・これはこれで自意識過剰みたいな感じがして、全力で走って逃げていた自分がちょっとだけ恥ずかしかったりする。
「寒っ」
5月末、雨に濡れたらそりゃ寒いに決まってるよね。
家方向に逃げるのは危ないかな?とか無駄に考えて、家とは真逆な方へ来ちゃったから結構な遠回りだし。
「……はぁぁ。この時期は本当に良いことがない」
憂鬱な気分になりながら自宅へ向かった。
──── 私は、この梅雨時期が大嫌い。
私の誕生日も、お母さんとお父さんが離婚して、お父さんが居なくなったのも、お母さんの海外赴任が決まって、私は日本に残ってひとりで暮らすって決めたのも全部……この時期だから。
朝も昼も夜も絶え間なく雨が降り続けて、空はどんよりした灰色に覆われ、常に薄暗い日々。



