「そういうことじゃねえ。“腹が減る”っつーことだ」
──── いや、どういうこと……?
「…………もしかして、“いい匂いがする”……ということですか?」
「ああ」
・・・・びっくりするくらい言葉足らずなんですけど、この人。
「あの、良かったらこれ……ただのカレーですけど、どうぞ。お裾分けです」
「いいのか?」
「はい。チョコレートのお礼も兼ねて」
「気を遣う必要はない」
「……すみません。正直に言うと作りすぎちゃって、食べてくれると助かります」
「そうか」
苦笑いしながらタッパーを差し出す私を見て、フンッと鼻で笑いながら、タッパーを受け取ったお隣さんの表情がとても優しくて、ドキッと胸が弾んだ。
今まで“男”という存在を極力避けてきた私には、大人の男の人なんて刺激が強すぎるのかもしれない。
「……あの、名前……教えてもらってもいいですか……?」
いつまでも“ぶっきらぼうなヤクザさん”、“お隣さん”とかって呼ぶわけにはいかないしね。
特に“ぶっきらぼう”なんて、本人の前でポロッと言っちゃったら……うん、かなりヤバいし。
「桐生……桐生 誠(きりゅう まこと)」
──── 桐生さん……誠さん……桐生さん、かな。
──── いや、どういうこと……?
「…………もしかして、“いい匂いがする”……ということですか?」
「ああ」
・・・・びっくりするくらい言葉足らずなんですけど、この人。
「あの、良かったらこれ……ただのカレーですけど、どうぞ。お裾分けです」
「いいのか?」
「はい。チョコレートのお礼も兼ねて」
「気を遣う必要はない」
「……すみません。正直に言うと作りすぎちゃって、食べてくれると助かります」
「そうか」
苦笑いしながらタッパーを差し出す私を見て、フンッと鼻で笑いながら、タッパーを受け取ったお隣さんの表情がとても優しくて、ドキッと胸が弾んだ。
今まで“男”という存在を極力避けてきた私には、大人の男の人なんて刺激が強すぎるのかもしれない。
「……あの、名前……教えてもらってもいいですか……?」
いつまでも“ぶっきらぼうなヤクザさん”、“お隣さん”とかって呼ぶわけにはいかないしね。
特に“ぶっきらぼう”なんて、本人の前でポロッと言っちゃったら……うん、かなりヤバいし。
「桐生……桐生 誠(きりゅう まこと)」
──── 桐生さん……誠さん……桐生さん、かな。



