降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

でも、それはそれで“恋”の入り口っていうか、始まりっていうか、“まずは見た目から~”って、ザラにある話ではあるよね?

“ひとめぼれ”ってそういうことでしょ?多分。分かんないけど。


──── 私は高3の代にして、“恋愛”というものを経験したことがない“恋愛未経験者”。


年頃の娘が恋愛の一つや二つしたことが無いなんて、それはそれで拗らせそうで問題なような気もするけど……。


「誠さん!!」

「若!!何も言わずに居なくなるのはやめてください!!」

「誠さーん。子供じゃないんすから、急にどっか行くの勘弁してくださいよぉ。面倒くさ~い」


スーツを着た男の人達が集まってきて、いよいよただ者ではないという確信に近づく。

大柄な男の人達に囲まれて、めちゃくちゃカオスな状況の出来上がり。人生終了のお知らせ……いや、諦めるにはまだ早い。


「「……なんで高校生?」」

「あーーっ!!」


私を見てキョトンとしている男の人達と、私を見て驚いている男の人。


・・・・さて、どうする?月城 梓(つきしろ あずさ)。

1.仲間になる 2.戦う 3.逃げる

この3択しか浮かんでこないのはどうかと思うけど、迷わず“3”を選択するよ。

こんなの……逃げたもん勝ちでしょ。