降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

ひぃぃーー!!チラチラ見てたのがバレちゃった!?


「……悪い。速かったか?」


・・・・ん?……えっと……何が?


「え、いや、その……」


──── あ、もしかして……歩くペースのこと……かな?


ここまでの道のりを思い返しても、速いどころか、むしろ私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれてた……よね?


「いやっ、全然っ!!ちんたら歩いちゃってすみません。ごめんなさい!!」

「別にいい。脚短ぇからそんなもんだろ」


────── はい?


ま、まぁ……あなたに比べたらそりゃ短いですけど、別に短くはないしっ!!!!……って、落ち着いて。

多分だけどこの人、言葉足らずなだけなような気がする。

『俺より脚が短いから、歩くのが遅くても仕方ないだろ』……そう言いたかっただけ……だよね?


「……いや、言葉足らず過ぎでしょ」


・・・・思わず口からポロッと出てしまった。


「あ?」


眉間にシワを寄せて、仏頂面で私を見下ろしているお隣さん。


「すっ、すみません!!脚短いですよね!!ごもっともだと思います!!ごめんなさい!!短くて!!」

「いや、短くはないだろ」


────── どっちだよーー!!!!