・・・・さっき貰った万札を募金するつもりなのか?この女。
こういうのを“偽善者”と罵る奴もいるだろう。だが、この女はおそらく“偽善者”とは違う。
誰もが見て見ぬふりをしていたあの状況で、迷わず老人に手を差し伸べた。
ただただ“純粋”に、老人を“助けたい”という気持ちだけで、体が勝手に動いたパターンだろうな。
あの様子じゃ、本当に見返りを求めていたわけでもないだろう。
だいたい謝礼の募金だって、この俺が尾行なんてしてなければ誰に知られることもなく、この女はしれっとやってたんだろうしな。
───── ごちゃごちゃと女のことを考えれば考えるほど、どうしようもなく気になって仕方ねえ。
「ありがとうございました」
そう言いながら軽く会釈をして、銀行から出ていった女を追うかどうか躊躇った。
───── 『あの女を逃したら一生後悔する』
その衝動に強く駆られ、柄にもなく焦りながら外へ出た。
目を凝らしながら周りを見渡したが、もう既にあの女の姿はない。
「……チッ」
後悔が苛立ちに変わっていく。
なんであの時、すぐに追わなかった。なんで躊躇っちまったんだよ。
こういうのを“偽善者”と罵る奴もいるだろう。だが、この女はおそらく“偽善者”とは違う。
誰もが見て見ぬふりをしていたあの状況で、迷わず老人に手を差し伸べた。
ただただ“純粋”に、老人を“助けたい”という気持ちだけで、体が勝手に動いたパターンだろうな。
あの様子じゃ、本当に見返りを求めていたわけでもないだろう。
だいたい謝礼の募金だって、この俺が尾行なんてしてなければ誰に知られることもなく、この女はしれっとやってたんだろうしな。
───── ごちゃごちゃと女のことを考えれば考えるほど、どうしようもなく気になって仕方ねえ。
「ありがとうございました」
そう言いながら軽く会釈をして、銀行から出ていった女を追うかどうか躊躇った。
───── 『あの女を逃したら一生後悔する』
その衝動に強く駆られ、柄にもなく焦りながら外へ出た。
目を凝らしながら周りを見渡したが、もう既にあの女の姿はない。
「……チッ」
後悔が苛立ちに変わっていく。
なんであの時、すぐに追わなかった。なんで躊躇っちまったんだよ。



