降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

・・・・美冬は家庭環境が複雑というか色々あって、先輩ん家とかを転々とする生活を送ってる。


「で、桐生さんとはどうなったのー?」

「あー、うん……多分、付き合うことになった……と思う」

「なんで曖昧なわけ~?」

「付き合ってくれとか言われてないし……」

「梓から言えば良かったじゃん、んなもん」


ごもっとも過ぎて、ぐうの音も出ない。


「後で聞いてみる」

「そうしたら?じゃ、また明日~」

「うん。送ってくれてありがとう」


──── 夕飯も食べて、お風呂にも入ったし、後は寝るだけ……いや、まだメッセージが送れてない。


スマホと睨めっこして、《私達って付き合ってるってことでいいですか?》と、何度も何度も打っては消してを繰り返している。


「はぁぁ。どうしよう」


ベッドに寝転んで、右を向いて左を向いて、忙しなく動いている私。


《こんばんは。一つ聞いてもいいですか?私達って付き合ってるってことでもいいんでしょうか?》


・・・・いや、やっぱ無理。


打ったメッセージを消そうとした時だった。


「ああっ!!!!!」


──── 最悪。送っちゃった……。


「け、消そう!!桐生さんが読む前に、メッセージの送信を取り消せばっ……」