「可愛いな」
そう言って優しく微笑み、私の頭を撫でてくる桐生さんに胸がドキドキして、ボンッと顔が真っ赤になってるのが自分でも分かる。
いっつもぶっきらぼうなくせに、こういう時にズルいよ……そういうの。
「桐生さん」
「ん?」
「それ、反則です」
「お互い様だろ」
──── 甘く、刺激的で、少しだけ大人な恋。
二人だけの甘い雰囲気がとても心地よくて、このままずっと続けばいいのにって思った。
すると、桐生さんのスマホが鳴って、チラッとスマホを確認した桐生さん。
その画面が一瞬見えちゃって、表示されていたのは“紗英子”の三文字だった。
── 一気に現実へ戻されて、さっきまでの甘い空間が無くなっていく。
「悪い、梓。ちょっと出てくる」
「……そう……ですか。じゃあ、戻ります」
「後でな」
「はい」
私の頭をポンポンと撫でてくれる桐生さんの手が、こんなにも重く感じたのは初めてかもしれない。
「どうした」
「え?」
「言いたいことがあるなら言え」
・・・・『紗英子さんって誰ですか?』
その一言が、喉の奥につっかえて出てこない。
きっと桐生さんは、聞けばちゃんと答えてくれる。でも、臆病な私には聞けない……そんなの、聞けないよ。
そう言って優しく微笑み、私の頭を撫でてくる桐生さんに胸がドキドキして、ボンッと顔が真っ赤になってるのが自分でも分かる。
いっつもぶっきらぼうなくせに、こういう時にズルいよ……そういうの。
「桐生さん」
「ん?」
「それ、反則です」
「お互い様だろ」
──── 甘く、刺激的で、少しだけ大人な恋。
二人だけの甘い雰囲気がとても心地よくて、このままずっと続けばいいのにって思った。
すると、桐生さんのスマホが鳴って、チラッとスマホを確認した桐生さん。
その画面が一瞬見えちゃって、表示されていたのは“紗英子”の三文字だった。
── 一気に現実へ戻されて、さっきまでの甘い空間が無くなっていく。
「悪い、梓。ちょっと出てくる」
「……そう……ですか。じゃあ、戻ります」
「後でな」
「はい」
私の頭をポンポンと撫でてくれる桐生さんの手が、こんなにも重く感じたのは初めてかもしれない。
「どうした」
「え?」
「言いたいことがあるなら言え」
・・・・『紗英子さんって誰ですか?』
その一言が、喉の奥につっかえて出てこない。
きっと桐生さんは、聞けばちゃんと答えてくれる。でも、臆病な私には聞けない……そんなの、聞けないよ。



