────『キスして悪かったな』……そういうことなの?
そして、私の脳裏に浮かんできたのは“紗英子”の三文字。
「……ごめんなさい」
「ん?」
「ごめんなさいっ……」
「……っ!?おい、梓!!」
私は桐生さんの手を振り払って家へ戻った。
もちろん桐生さんが追いかけてくることはない。
──── そんなこと分かりきってる。でも……追いかけて欲しかった自分もいて、なんか辛い。
「……もう、分かんないよ……桐生さん……」
・・・・桐生さんとのキスを思い返して、桐生さんのキスは『お前のことが好きだ』と伝えてくれるような、そんなキスだった。
あの時、私には余裕なんてものは一切なくて、桐生さんに合わせるのがいっぱいいっぱいだったけど、とても大切にされてるのが伝わってきて、それがすごく嬉しかった。
私の勘違いかもしれない、ただの自惚れでしかないかもしれない。
でも、それでもいい……それでいいじゃん。
“私が桐生さんを好きだという事実さえあれば”。
「それに桐生さんは……」
──── 中途半端なことをするような人じゃない。
「私も中途半端じゃダメだ」
そして、私の脳裏に浮かんできたのは“紗英子”の三文字。
「……ごめんなさい」
「ん?」
「ごめんなさいっ……」
「……っ!?おい、梓!!」
私は桐生さんの手を振り払って家へ戻った。
もちろん桐生さんが追いかけてくることはない。
──── そんなこと分かりきってる。でも……追いかけて欲しかった自分もいて、なんか辛い。
「……もう、分かんないよ……桐生さん……」
・・・・桐生さんとのキスを思い返して、桐生さんのキスは『お前のことが好きだ』と伝えてくれるような、そんなキスだった。
あの時、私には余裕なんてものは一切なくて、桐生さんに合わせるのがいっぱいいっぱいだったけど、とても大切にされてるのが伝わってきて、それがすごく嬉しかった。
私の勘違いかもしれない、ただの自惚れでしかないかもしれない。
でも、それでもいい……それでいいじゃん。
“私が桐生さんを好きだという事実さえあれば”。
「それに桐生さんは……」
──── 中途半端なことをするような人じゃない。
「私も中途半端じゃダメだ」



