「立てるか?」
桐生さんが大きな手を私に差し伸べている。
私はその手を取って、立ち上がった。
「歩けそうか?」
「はい。大丈夫です」
「そうか」
桐生さんの大きな手が私の手から離れて、ポンポンッと優しく頭を撫でる。
これがどれだけ私を安心させ、心を満たしてくれているか……きっと桐生さんは分かってないだろうな。
「あれ……不破さんは?」
「帰った」
「そうですか」
寝室から出てリビングへ行くと、綺麗に片付けられていて、不破さんの姿はもうなかった。
「アイツのことが気になるのか」
「え?」
ソファーに掛けてあったTシャツを手に取りながら、そんなことを聞いてくる桐生さん。
その横顔は相変わらず何を考えているのか分からないけど、声のトーンがなんとなく……寂しそう。
「それって……どういう意味ですか?」
「……いや、いい」
Tシャツを着て、私の頭を上に手をポンッと置くと、髪を少しワシャワシャしてきた。
「悪かったな」
それは何に対しての『悪かったな』……なの?
喉の奥に何かがつっかえるような、胸がぎゅっとするような……。それが苦しくて、もどかしい。
桐生さんが大きな手を私に差し伸べている。
私はその手を取って、立ち上がった。
「歩けそうか?」
「はい。大丈夫です」
「そうか」
桐生さんの大きな手が私の手から離れて、ポンポンッと優しく頭を撫でる。
これがどれだけ私を安心させ、心を満たしてくれているか……きっと桐生さんは分かってないだろうな。
「あれ……不破さんは?」
「帰った」
「そうですか」
寝室から出てリビングへ行くと、綺麗に片付けられていて、不破さんの姿はもうなかった。
「アイツのことが気になるのか」
「え?」
ソファーに掛けてあったTシャツを手に取りながら、そんなことを聞いてくる桐生さん。
その横顔は相変わらず何を考えているのか分からないけど、声のトーンがなんとなく……寂しそう。
「それって……どういう意味ですか?」
「……いや、いい」
Tシャツを着て、私の頭を上に手をポンッと置くと、髪を少しワシャワシャしてきた。
「悪かったな」
それは何に対しての『悪かったな』……なの?
喉の奥に何かがつっかえるような、胸がぎゅっとするような……。それが苦しくて、もどかしい。



