降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

ムクッと起き上がって、ベッドから立ち上がろうした時、頭がクラっとして、そのまま崩れ落ちるように床へ座り込んでしまった。

まだフワフワするし、アルコールが全く抜けてない気がする。力入んないし……。


── ガチャッと寝室のドアが開いたその先にいたのは、上半身裸の桐生さんだった。


「大丈夫か」


そう言いながら座り込んでいる私のもとへ来た……のはいいんだけど、桐生さんのバッキバキな肉体美が直視できない!!


「だっ、大丈夫です!すみません!」


慌てて立ち上がったのはいいけど、頭も視界もグラついて、バランスを崩した私は後ろへ倒れた。


「梓!」

「……っ!?」


──── なんで……どうしてこうなった……?


後ろへ倒れた私を桐生さんが助けようとして……私をベッドの上で押し倒してるみたいな感じになっちゃってる……。


「悪い……大丈夫か?」


私を見下ろす桐生さんがとても色っぽい。

胸の高鳴りが激しさを増して、もう桐生さんのことしか考えられない。


──── 私、桐生さんのことが……好き。


「そんな顔で見んな。抑えが利かなくなる」


私の頬に優しく手を添えて、ワレモノを扱うよう丁寧に撫でる桐生さん。

その手の優しさ、温もり、全てが私を狂わせる。