降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

──── 一気に飲み干した後に気付いた。いや、飲んでる最中にめちゃくちゃ不味いとは思ったけど、勢いで飲んでしまった。


・・・・これ、水じゃない……お酒だ。


体が火照って、頭がフワフワしてきた。


「おい、おい!!梓、吐け!!」


吐けって言われても、そう簡単に吐けないよ……。


不破さんの声も、桐生さんの声も歪んで聞こえて、視界もグワングワンしてる。

これは……もう、無理だ。



──── ここでプツンッ……と意識が途切れてしまった。



「ん……」


頭が痛い。

重い目蓋をゆっくり上げると、とてもフカフカなベッドの上に寝転んでいる私。

しかも、自分のベッドではないのが一目瞭然。


「この匂い……」


──── 桐生さんのベッドだ。


私、なんで桐生さんのベッドで寝てたんだろう。

・・・・間違えて不破さんのお酒を一気に飲んじゃって……それからぁ……記憶がない。


「……やらかしたぁぁ……。っ、頭痛いし……」


──── それにしても、こんなにも桐生さんの匂いに包み込まれてると、変に意識しちゃうっていうか、めちゃくちゃドキドキしてくる。


まるで、桐生さんに抱かれてるみたいな──。


「………今、何時だろう」