降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

などなど……。

何故か説教モードに入ってしまった桐生さん。

でも、説教しながらも着々とたこ焼きは焼くし、私の口へたこ焼きを運んでくるし、その度に『旨いか?』って聞いてくるし。『美味しいです』って言ったら、満足気な顔をして『ん』って……。

これ、どういう情緒でいるのが正解なのか、ぶっちゃけ分かんない。


「分かったか?」

「あ、はい」

「気安く男に触らせんなよ」

「はい」

「分かってんのか?」

「はい」

「誰にも触れさせんな」

「はい」

「指一本触れさせんなよ。分かったか?」


──── あーーもうっ!!めっちゃクドい!!


「はいはい!!分かってますよ、分かってます!!だったら桐生さんも触んないでくださいね!!」

「あ?俺はいい」


・・・・とびっきりの矛盾キタァァーー!!


「矛盾してません!?」

「してねえ」

「してます!!」

「俺はいい。俺以外はダメっつってんだ」

「なんですかそれ!!」


いやいや、意味分かんないよ!?どういうこと!?

私はコップへ手を伸ばし、自分が飲んでいた水を一気に飲み干した。


「あっ!!!!それ!!僕の!!」

「……おい、梓!吐け、今飲んだもん全部吐け!!」