降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

桐生さんの不機嫌そうな声が聞こえて、私と不破さんがそっちを向くと、無表情で私達を見ている桐生さんが立っていた。


「ん?見ての通り、何もしてないよ?ね、梓ちゃん」

「え、あ、はい」

「近ぇ」

「はははっ。そうかな?ごめんごめん」


すると、ズカズカと近付いてきた桐生さんが、私と不破さんの間に割り込んできて、何食わぬ顔をしている。

それを見て不破さんはお腹を抱えて爆笑してるし、私はどう反応していいか分からなくて、とりあえずキャベツを切ることにした。

ジーーッと、突き刺さるような視線を桐生さんから感じる。

それに気付いてないふりをしてたけど、その視線があまりにも痛すぎて、ゆっくり上を見上げた。


──── 仏頂面の桐生さんが私をガン見してらっしゃる。


「な、なんでしょうか」

「別に」


『別に』……とか言いながらも、私をガン見し続ける桐生さん。

私はダラダラと冷や汗を流して、ひきつった笑みを浮かべる。


「……あの、なにか?」

「別に」


・・・・ダメだ。桐生さんが何を考えているのか、さっっぱり分かんない。


──── それに、あの電話も……。


「……電話、大丈夫でしたか?」