降りしきる雨の中、桐生さんは傘をささない。

「不破さん」

「ん?」

「私に興味ありますか」

「え?」


予想外の質問だったのか、少し焦っている不破さん。


「私に興味があるようには見えませんけど。私が『不破さんがいい』そう言ったら、私の相手……してくれますか?」

「…………いやぁ、参ったなぁ」


なんて言いながら苦笑いをしている不破さん。


「思ってもないこと、言わない方がいいかと」

「ははっ。勉強になったよ、ありがとう」

「……結局、何が言いたかったんですか?」

「んーー。なんだろうね。まあ、一つ言えるのは……僕が誠の“特別”に手を出すことは無いよ。絶対に」

「は、はあ……」

「だから安心して?」

「は、はあ……」


・・・・さっぱり意味が分からない。


「それにしても遅いね。誠」


『紗英子(さえこ)さんって知ってますか?』なんて、聞けるわけがないよね。


「そうですね……」

「ん?どうしたの?浮かない顔して」

「いや……その……」

「言ってごらん?僕でよければ相談とかも乗るよ?」


ニコニコしながら私の顔を覗き込んできた不破さん。


・・・・この距離感、どうにかなんないかな。


「不破さん。あの、近っ……」

「おい。何してんだ」