弟は離れることを、ゆるさない



「葵……、起きてる?」

 真っ暗な中こそっと声をかけてみるけれど、葵は眠っているのかやっぱり返事がない。


 そういえば、ここ最近葵の寝顔見たことないかもしれない。


 足音を立てないように葵が寝ているベッドに近づく。恐る恐る葵の寝顔を見てみると、スウッと寝息を立てながら眠っていた。実の弟だけれど、姉の私からしても葵はやっぱり特別かっこいいと思ってしまう。


 普段ワックスでセットしている葵の髪はお風呂上がりはサラサラで、指で前髪をなぞると愛らしいおでこが見える。


「……んんっ」

 吐息と共に葵の体が私が立っている方向へと向いた。

 ……顔が近い。あと少し近寄ると、葵の頬に唇が触れてしまいそうだ。