新しいクラスは、A組だった。北条くんはというと…。

 「え、この流れでクラス別とかある…?」

 となにやら嘆いている。流れ、ってどういう意味だろう…。

 北条くんはB組。隣のクラスらしい。

 クラス一覧をざっと見た感じ、知り合いの名前は無さそうだった。

 良かった…。これ以上知り合いがいたら、どう立ち振る舞えばいいのか分からない。北条くんは…まぁ理由ももう話しちゃったし、今更どうこうという気はない。

 よし、心機一転、頑張るぞ…!と心の炎をメラメラと燃やす。

 当の北条くんは…

 「小野寺さん、俺、ちゃんと友達できるかな…。」

 と、小さい声で一言。

 北条くんが、不安げにしている…。あの北条くんが…。

 なんだか…。

 「珍しいね、北条くんが緊張してるの。なんかいっつも自信満々なイメージが…。」

 そう言うと、北条くんは何故かニヤニヤしてこう言った。

 「ふーん…。俺のこと、ちゃんと見てたんだね。」

 なっ

 「なんでそうなるの?!」

 ぶわ、と顔が赤くなるのが分かる。

 「あー、赤くなってるー♪」

 「絶対面白がってるでしょ…、」

 「えー?だって本当の事だしなー。」

 「でも…」

 言い返そうとした私の言葉を遮って、北条くんが耳元で言う。

 「ふは、赤くなってるところ、かわいーよ。」

 「なっ」

 もう真っ赤どころじゃない。顔から火が出そうだ。

 「じゃーね、会えて嬉しかったよ。あと…
 明日の朝も、同じ電車で、ね?」

 「〜〜〜っ!」

 何も言えない私を置いて、北条くんはクラスへ向かってしまった。ひらひらと手を振りながら。

 結局私が移動を始めたのは、しばらく経って顔の赤みが引いた頃だった。