図書室ピエロの噂


 その後薺がスタッフコールを押すと、看護師さん達が駆けつけてきた。
 なんでもぼく達は、三日間行方不明だったらしい。
 病院中が〝そうぜん〟としていたそうだ。

「歩夢!?」

 ぼく達を探してくれていた中には、水間さんや泰我先生もいた。透くんもいる。

「お兄ちゃ……ん? お兄ちゃんなの?」
「そうだ。歩夢、よかった、歩夢……!」

 ぼくのそばで、水間さんががばりと歩夢くんを抱きすくめた。歩夢くんが、おずおずと腕を回し返している。きっと、十二年も経ったなんて、いきなりは信じられないと思う。

「よくやったな」

 泰我先生が、ポンポンとぼくの頭を叩くように撫でたとき、亮にいちゃんとお父さんが入ってきた。ぼくと薺は二人に抱きしめられ、四人で抱き合う形になった。

「心配した」

 亮にいちゃんの言葉に、ぼくは少し考えてから笑ってみせた。

「ありがとう。でも、ぼくは大丈夫」

 ――それからが、大騒ぎだった。歩夢くんは失踪してから七年以上経っていた上、外見が変わっていないこともあり、様々な手続きがあったらしい。勿論その前に、ぼくと薺も含めて、病院で全身を検査された。

 だが、元々の持病以外には、おかしなところはなにもないと判明した。

 こうして、ぼく達は、無事に戻ってきたのである。外の世界に。
 ぼくは、夏休み明けが待ち遠しい。果たして学校に、図書室ピエロはいるのだろうか?

 ぼくはことの〝てんまつ〟を哀名にメッセージで送っておいた。