ぼく達は三人で、通路を進む。ぬめる石の床で、四方にも天井にも床にも、こけが生えている。かびくさい。だんだんと、鏡が見えてきて、その中央はぐるぐると歪んでいた。あそこからなら出られると直感した。
「もうちょっとだ、二人とも!」
ぼくは、自分より年下の二人を、ひっしで〝こぶ〟した。
汗をかきながら、二人が頷く。
もうちょっとで手が届く。もう少しで、外に出られる。歩夢くんも、一緒に。
そう思った時だった。
「待て!! 待て、待て、待てぇ!!」
ぼくの背後から、笑うような怒るような、そんな声が聞こえてきた。
首だけで振り返ると、ぼく達が最初にいた部屋の壁から、にゅっとピエロが上半身を出したところだった。こっちへむかって飛んでくる。
「薺、歩夢くん、先に行って!」
「お兄ちゃんは!?」
「ぼくには――大切な子がくれたお守りがある」
ポケットに入れてあった護符を折ったものを取り出し、ぼくは握った。
「はやく走れ!」
ぼくの言葉に、二人が走り出す。ピエロが迫ってくる。二人の手が鏡にかかった。
その瞬間、ぼくの正面に迫ったピエロに、ぼくは護符を押しつけた。
「!」
するとピエロが動きを止めて、その場にガクンと落下した。
後ろを振り返ると、先に薺が外に出て、歩夢くんを引き上げているところだった。
「絶対に、逃がさない、お前だけでも逃がさない!」
ピエロが震えながら、起き上がった。白い顔が、こけと土で茶色く汚れている。
ゆっくりと立ち上がったピエロは、帽子が取れていて、ぼくとほとんど同じ身長だった。
「なんで鏡に引きずり込んだりするの?」
「……っ、一人は寂しいんだ! ボクだって、お友達が欲しいんだ!!」
その言葉に、ぼくは目を見開いた。

