図書室ピエロの噂

「ぼくも楠谷くんが正しいと思う。楠谷くんが言ってることは、筋が通ってる」

 すると人潟くんがそういった。

「俺も、楠谷は嘘ついたりしないと思う」

 西くんも声をはさんだ。西くんはぼくのそばにくると、ぼくのカタを抱いた。

「俺達三組の男子は、嘘なんかつかねぇ! なぁ、みんな?」
「そうだそうだ!」
「女子って本当に陰湿だよな!」
「哀名の悪口言ったりさ!」
「七海がいじめてただけだよなー!」
「七海さん、瑛のこと好きなんだもんなぁ。ああ、しっとって怖っ」

 男子達が口々にそう言うと、ボロボロと七海さんが泣き出した。ぼうぜんとぼくがそれを見ていると、西くんがぼくにいった。

「いやぁモテる男もつらいな。しかし、楠谷、よく言った! それでこその男子だ!」

 西くんの言葉に、ぼくはあいまいにうなずいた。
 そのとき、また見知らぬ子が言った。

「七海さん、正直にあやまったら? わたし、見てたんだ。七海さんが自分で、哀名さんの棚にリボンいれるところ」

 すると七海さんがビクリとしてから、今度は真っ青な顔になった。
 そして怯えるように顔を上げると、哀名を見て、小声で言った。

「ごめんなさい……」

 哀名は無行状でそちらを見た後、首を振った。

「気にしてない。だから、あやまらなくていい」

 そして哀名は、なんでもないように椅子に座った。ランドセルの中身を取り出している。

「ありがとう……」

 七海さんがそういうと、ほかの女子が男子をにらんだ。

「なにもそこまで言わなくてもよくない?」
「七海ちゃんは、楠谷くんのことがちょっと好きすぎただけだよ?」
「ば、ばか、〝ばくろ〟しちゃだめじゃない?」
「男子がもうしちゃったでしょ!」

 そのとき予鈴がなって、泰我先生が入ってきた。
 こうしてその場はおさまった。

 ぼくはチラリと窓のほうを見たのだけれど、もうそこには、見知らぬ子はいなかった。変だなぁと思いながらすごし、ぼくは昼休みに人潟くんに聞いた。

「ねぇねぇ、朝さ、窓のところに知らない子、いなかった?」
「ああ、学校わらしかぁ」
「知ってるの?」
「うん。座敷わらしの親戚で、学校に居着いてるんだよ。学校のみんなに幸せをもたらす存在で、今日はこの教室にいたんだ。だから哀名さんへの無視も、七海さんへの〝きゅうだん〟も、すぐにおさまったんだよ」
「そうなんだ」

 その言葉に、ぼくは哀名を見た。今日は哀名の周りに女子がいて、哀名も一緒に給食を食べている。見ていると無表情だった哀名が小さく笑っているのが分かった。

 よかったなと思いながら授業を受けて、ぼくは家に帰った。
 すると哀名からメッセージがきていた。

《ありがとう》