帰宅してから、ぼくはまっすぐに自分の部屋に行った。
そしてドキドキしながらスマホを取り出す。すると通知が来ていた。
――哀名から、メッセージがきていた。
既読がついたのを確認し、ぼくはあわててスタンプを送る。
《連絡、ありがとう》
《こちらこそ》
《これからよろしく!》
短くやりとりをしていたら、晩ご飯に呼ばれた。ぼくは嬉しくて胸がいっぱいで、ずっと笑顔でご飯を食べた。今日はお父さんも日勤だったから、三人で食べた。なんだか今日は、すごくいい日だ。
この日は眠るまで哀名とメッセージをやりとりしていた。
そして朝は、おはようのスタンプを二人でおくりあった。
なんだか、恋人みたいだ。
ぼくは嬉しい気分で学校に行った。登校班が同じ子達にも、機嫌が良さそうだと言われた。みんなするどい。
そして教室に入ると――……その場に怒ったような声が聞こえた。
「哀名さんが盗んだんでしょう!? あなたの棚に私のリボンが入っていたのが証拠よ!」
「……知らない」
そのやりとりに、ぼくはおどろいた。近くにいた山瀬くんに、小声で聞く。
「なにがあったの?」
「なんかね、七海さんが、朝、昨日忘れていったリボンがないって言い出して、みんなで探してたら、七海さんがたまたま目に入った哀名さんのランドセル入れにリボンが隠してあるのを見つけたんだって」
哀名が盗みなんてするはずがない。まずそう思った。
ずっと怒鳴っている七海さんを見て、ぼくは〝いしゅく〟しそうになったけれど、ぼくは哀名を見捨てたりしない。もう、浮いているとか、自分が浮いてしまうとか、気にしない。
「七海さん、いつまでそのリボンはあったの?」
「えっ……そ、その……哀名さんが帰る前まではあった!」
「そんなはずないよ。ぼく、昨日の放課後哀名に声をかけたんだ。そのとき、教室に七海さんはいたよ! 哀名に盗めるはずがないじゃないか!」
ぼくの言葉に、七海さんの目が飛び出しそうになった。そして真っ赤になって、泣きそうな顔をして、目をつり上げた。
「じゃ、じゃあどうして哀名さんの棚から出てきたって言うの!?」
「ほかの人が哀名に濡れ衣を着せたんだ!」
「そんなの証拠、ないでしょ!」
「哀名がやったっていう証拠もない! むしろやるのが無理だってぼくが証言できる!」
ぼくがきっぱりと断言すると、七海さんが震えだした。
「……ど、どうして……哀名さんに声をかけたのよ」
「別にいいだろう。七海さんには関係ないよ」
「どうして!? どうして私じゃないの!? 最近いつも哀名さんのことばっかり見てるし!」
まさか気づかれているとは思わず、ぼくは焦った。
「哀名とぼくは図書室で顔をあせたりして仲良くなったんだよ。友だちなんだよ。それがなにか問題ある?」
なるべく冷静にぼくは言った。するとついに七海さんが、怒りながら泣きはじめた。
「私も昨日、七海さんより先に、哀名さんが帰るの見たよー!」
そのとき誰かの声がした。ぼくが振り返ると、見おぼえのない女子が、窓際に立っていてそういった。あれ? あんな子、このクラスにいたっけ?

