図書室ピエロの噂



 三日後は日曜日だった。
 ぼくは目覚まし時計のアラームの音で目を覚ました。ねむいから、目をこする。

「待ち合わせ場所に行かないと」

 起き上がって、ぼくは着がえた。お気に入りの真っ赤なTシャツだけど、なんだか今日は不安だ。本当にこれに効果があるのかは、分からない。ただぼくはそう思いついたんだ。窓の外を、しとしとと雨が落ちていく。ぼくはランドセルの中身も、あの日と同じにして、それを持って下に降りた。リビングのソファに一度ランドセルを置いて、顔を洗いに行く。歯磨きもした。そしてリビングにもどると、ちょうど降りてきたところだった様子の亮にいちゃんが不思議そうにぼくを見た。

「今日は休みなのに、このランドセルは?」
「友達の家の方で勉強してくるんだよ!」

 待ち合わせの公園の先には西くんの家があるから、『方角』はあってる。たしかに『方』だ。ぼくは嘘をついてはいない。それに勉強も、『#都市伝説__・・・・__#』の勉強だけど、それは〝もくひ〟した。

「そうか、頑張れよ」

 亮にいちゃんは、笑顔でうなずいた。ぼくはうなずきかえして、ランドセルを背負う。朝ご飯は食べていないけど、待ち合わせに遅れてしまうから、ぼくは急いだ。

 マンションを出て、カサを差して歩く。雨の雫がカサにぶつかる音を聞きながら通学路を歩いて行き、ぼくは目指している公園に着いた。するとうでに赤い布をまいた水間さんが立っていた。鋭い目をしている。

「おはようございます」
「ああ。今からでも遅くない、帰ってもいいんだぞ?」
「ううん。水間さんが心配だから」
「……そうか」

 ぼくを見ると、水間さんが苦しそうな優しそうな、どちらともいえない目をして笑った。感情がごちゃごちゃに見えた。しかし水間さんは、すぐに気を取りなおした様子だった。

「まずは、最も新しい被害者が目撃した場所にいこう」
「ひがいしゃ……?」
「赤い子を見たと話した直後に、交通事故で亡くなった」

 ぼくはゾクッとした。鳥肌が立ったが、ここで逃げるのは、〝子供〟だ。
 なんでもないふりをして、ぼくは頷く。

「行こうよ」
「そうだな。瑛、俺から離れないように」
「うん」

 こうしてぼく達は、歩きはじめた。
 何度か角を曲がるうちに、どんどん雨のいきおいが強くなっていく。

「ここだ。ここで最後の被害者は、まっかっかさんを見たらしい」

 水間さんが立ち止まったのは、お地蔵様のそばだった。ぼくは頷く。

「出てくるかな? ――あ」

 その時、遠目に人影が見えた。近づいてくるその子のカサは、真っ赤だった。