綺麗でぱっちりとした黒目に、鼻筋の通った綺麗な鼻。そして、一年中外でサッカーをしているのにも関わらず色白な肌。
なにより、少し目にかかっているサラサラな黒髪。
その、やけに綺麗で整った見慣れた顔を無言で見つめ合う時間が続く。
「…」
いくら幼馴染といえど、なかなかに整ってらっしゃるお顔を近くで見続けるのは…、
どちらかが逸らしたら、負け。
「…っ、もうなに?!」
私の、完敗です。
てか、これ勝てたことない。
「紗杷、逸らしたーっ!アイス奢ってね」
「もう、しょうがないな」
いつも私がアイスを奢るハメになる。
だって、あんな綺麗な顔、キャパオーバーですよ…
そして、勝ったのをいいことに私の腕にまた絡みついてくる腕。
……世理のにおい。
ルンルンに歩いている世理を横目に仕方ないなあ、と笑みがこぼれた。
舞い散る桜の匂いに負けないほど鼻を掠める世理の匂い。
今日だけ、特別に腕をほどかないであげる、…と心に決めて桜が咲いている並木道を歩いた。

